テンポアドバンテージ

結論から言いますと自分のペースで戦うことです。

マラソンでも一度自分のペースに持っていければ相手はそれを巻き返すために体力を使わざるを得ません。

ペースを握って相手より優位に立ってゆくのがこのテンポアドバンテージです。

ちなみに僕が勝手にそう呼んでるだけです。

ボードアドバンテージやハンドアドバンテージのように目に見えるアドバンテージではないのですが、ゲームメイクをするうえで非常に重要なアドバンテージですので意識しましょう。

 

無計画なせいでこの言葉一つに様々な意味を込めすぎてしまったのでかなり長くなってしまいましたが順を追って解説します。

 

前置き

遊戯王というカードゲームは8000という初期ライフポイントに比べてモンスターの攻撃力が高く設定されています。

 

デッキに入るアタッカー(=主に戦闘をするモンスター)攻撃力の目安

下級モンスター

1800~2000

上級モンスター

2400~

最上級モンスター

2800~

 

エクストラデッキに入るモンスター

シンクロモンスター

レベル5~7帯

2300~2800

レベル8

2500~3000

レベル9~

2700~3100

 

エクシーズモンスターに至ってはランク3でも高い攻撃力を誇る、

《No.17リバイス・ドラゴン》、《No.30破滅のアシッドゴーレム》

ランク4では多くのモンスターを戦闘破壊できて2500以上のダメージが望める《ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン》、

ダイレクトアタックが可能で攻撃力2000というステータスを持つ《No.82ハートランドラコ》などを有しています。

ランク5~8は攻撃力が2500~、ランク10にまでなると3000越えも普通です。

 

長々と攻撃力を並べましたが何が言いたいかというとこのゲームは相手の攻撃を数回通してしまうだけで敗北になりかねないのです。

 

攻防のテンポアドバンテージ

ビートダウンデッキにおけるテンポアドバンテージはこの二つになります。

1.自分のカードを有利に展開しライフを削ること

2.相手のカードの展開や行動を妨害し、1.につなげること

ビートダウンデッキとは?

直訳で殴り倒す。

TCGではモンスターの戦闘で相手のライフを0にするデッキの総称。多くのデッキがこれに属する。

《封印されしエクゾディア》や《終焉のカウントダウン》の効果で勝利を狙う【エクゾディア】や【カウントダウン】などは特殊勝利デッキ。

《連鎖爆撃》、《堕天使ナース‐レフィキュル》《シモッチによる副作用》を使用する【チェーンバーン】、【シモッチバーン】などのカード効果によるダメージで相手のライフを0にするデッキはバーンデッキ。

メタモルポット》や《ニードル・ワーム》などの効果で相手のデッキを0にして勝利するデッキをまとめて【デッキ破壊】。

ルールの穴をついて勝利する外道なデッキを【TOD(TimeOverDeath)】という。

 

1.について

至極当然ですが、このゲームは自分がドローした次の相手ターンには相手もドローします。

ドローによって自分のハンドアドバンテージが追加され戦術も増すわけですが、次のターンになると同じく相手もハンドアドバンテージが増え戦術や取れる行動が増えてしまいます。

相手がカードを引けば引くほど自分が不利になるカードや相手のコンボを完成させてしまうカードを引く可能性も上がってしまう訳です。

そうなる前に相手のライフを削り取ることを目標とするのが1.のテンポアドバンテージです。

 

例えば自分のデッキが《切り込み隊長》と《終末の騎士》を利用したワンターンキルデッキだとします。

 

ー《切り込み隊長》と《終末の騎士》によるワンキルー

《切り込み隊長》の効果で《終末の騎士》を召喚。

《終末の騎士》を召喚した後にデッキから《闇・道化師のペーテン》を墓地に送り《闇・道化師のペーテン》の効果を発動。デッキから《闇・道化師のペーテン》を特殊召喚する。

《闇・道化師のペーテン》と《切り込み隊長》で《MX-セイバーインヴォーカー》をエクシーズ召喚する。

《MX-セイバーインヴォーカー》の効果でデッキから《H・Cエクストラソード》を特殊召喚する。

《H・Cエクストラソード》と《終末の騎士》で《機甲忍者ブレードハート》をエクシーズ召喚、《H・Cエクストラソード》の効果で《機甲忍者ブレードハート》攻撃力が1000アップする(攻撃力3200)。

《機甲忍者ブレードハート》の効果を発動し、自身に二回攻撃を付与させる。

3200+3200+1600=8000

 

このデッキが上手くテンポを取ってワンキルが成立してしまえば相手の手札に封印されしエクゾディアのカードが4枚揃っていて、次のドローが最後の1パーツだとしても勝利できてしまいます。

 

この状況でもし、ワンターンキルが出来なかったのなら次のドローで相手の手札にエクゾディアがすべて揃い、相手の勝ちになってしまいますね。

(かなり極端な例えでしたが…)素早い段階で自分のカードを展開し、相手の準備が整っていないうちにライフを削り取る、即ちテンポアドバンテージを獲得することが大事かをわかっていただけると幸いです。

 

このテンポアドバンテージを攻撃のテンポアドバンテージと呼ぶことにします。

 

※補足

ここで大切なのは有利な展開です。

《機甲忍者ブレードハート》を出すべき場面で攻撃力4000となった《No.85クレイジー・ボックス》を出してもなんの意味もありません。

 

2.のテンポアドバンテージについて

1.のテンポアドバンテージが攻めのアドバンテージだとするなら、こちらは守りのアドバンテージです。

 

遊戯王のルール上、ドローフェイズ→スタンバイフェイズ→メインフェイズ1→バトルフェイズ→メインフェイズ2→エンドフェイズと移行するので普通は一度全ての攻撃を退けることができたのなら、バトルフェイズが同一ターン上でもう一度行われないのでそのターン敗北することはありません。

 

守りのアドバンテージを獲得する目的は、その一度のバトルフェイズをしのぎ、攻撃に転じるためです。

防御の手段と思ってもらって結構です。

 

守りのアドバンテージの獲得方法

①《聖なるバリア‐ミラーフォース‐》、《次元幽閉》などの除去カードを使ってモンスターを除去する

②《速攻のかかし》、《和睦の使者》などのカードで攻撃を防ぐ

③守備力の高い壁モンスターを守備表示にする

 

①の方法はモンスターの攻撃を止めるだけではなく、上手くいけば相手の強力なモンスターを除去(=ボードアドバンテージとテンポアドバンテージの両方を獲得)が出来ます。

時間稼ぎに留まらず相手を壊滅に追い込むことが出来る最も大切な守りのアドバンテージの獲得方法です。

欠点としては破壊されない効果を持つ耐性持ちのモンスターが存在したり、モンスターの数が多いと必ずしも攻撃を防ぎきれないことです。

 

②の方法はこれらを止めることの出来るカードは多くなく、攻撃を止めることに関しては①より確実で優秀です。

しかし、実際には攻撃を止めただけではいたずらにカードを消費しただけに過ぎません。

ハンドアドバンテージを一枚消費して一ターンのテンポアドバンテージを得ても反撃の手段がなければその場しのぎにすぎないのです。

 

③の方法が最も多用する守備方法になるでしょう。

カードを消費しない上に、モンスターが残ればシンクロ召喚やエクシーズ召喚にもつなげられる可能性もあります。

しかし攻撃力の高いモンスターを出されてしまうと防御手段としての役割が果たせなくなってしまったり、そもそもモンスターなので除去されやすいという欠点もあります。

 

お互いのプレイヤーが1.と2.を繰り返し、ボードアドバンテージやハンドアドバンテージの獲得を目指してゆくのがこのゲームの基本的な流れです。

 

先攻後攻によって発生するテンポアドバンテージ

先攻によって発生するアドバンテージ

マスタールール改訂により先攻のドローが出来なくなりました。

手札一枚でも勝敗が決するこのゲームではハンドアドバンテージだけでみると先攻の手札5枚と後攻の手札6枚では圧倒的に後攻が有利です。

 

しかしそれでも先攻を取る価値が有るほどに先攻で発生するテンポアドバンテージというのは重要です。

 

例えば《スターダスト・ドラゴン》をシンクロ召喚して罠カードを二、三枚伏せれば《ハーピィの羽箒》や《サイクロン》といった魔法罠破壊カードが《スターダスト・ドラゴン》で防げて伏せた罠カードで防御が可能です。

その上《スターダスト・ドラゴン》と攻撃力1500以上のモンスターが二回通る、

もしくは《スターダスト・ドラゴン》の攻撃が三回と攻撃力500以上のモンスターの攻撃が一回通るだけで勝負が決します。

 

この相手を制圧する状況が成立すれば攻めと守りのテンポアドバンテージを獲得できたことになります。

制圧するギミックがあるデッキならば先攻を選ぶ価値はあります。

 

後攻からのテンポアドバンテージの巻き返し

上記のように先攻からいきなり制圧を仕掛けてくるデッキは少なくありません。

しかし、そういったデッキの殆どが一ターン目の制圧で最初の手札を使い切ってしまうので巻き返すことが出来たのなら今度は後攻側が六枚の手札と相まって圧倒的に有利となります。

《スターダスト・ドラゴン》+罠カードによる制圧の突破の一例を挙げてみます。

 

《強制脱出装置》や《次元幽閉》を《スターダスト・ドラゴン》を対象にして撃つ

《スターダスト・ドラゴン》が手札を二枚使ってシンクロ召喚されたのであれば実質カード一枚で2枚のカードを消費させたことになる上に、相手の場にモンスターがいなくなる。

相手の初期手札5枚、手札を2枚使い《スターダスト・ドラゴン》を出したときには手札は3枚。罠カードを2枚伏せたとしたら残りの手札は1枚。

次の相手ターンのドローカードを含めて手札と罠カードが2枚ずつ。

対してこちらは六枚の状態からカードを一枚使っただけなので手札は5枚。

 

《サイクロン》を発動し、《スターダスト・ドラゴン》の効果を使わせた後に《ハーピィの羽箒》等を使用する

《スターダスト・ドラゴン》は自らアドバンテージを生み出すカードではなく、アドバンテージの損失を防ぐカード。

本当に怖いのは《スターダスト・ドラゴン》ではなく、一枚で大きくこちらのカードをそぎ落とす可能性のある伏せカード。

2伏せのカードに対して2枚カードを使ったので2:2交換、ここで《スターダスト・ドラゴン》より攻撃力の高いモンスターが召喚できたのなら有利になる。

逆に召喚できない場面では打つ必要はあまりない。

 

《帝王の烈旋》を使用し、《スターダスト・ドラゴン》を生贄にして《氷帝メビウス》を召喚する。

使えるデッキはかなり限られるが《スターダスト・ドラゴン》が除去できて《氷帝メビウス》の効果で魔法罠カードを2枚破壊できるので驚異の2:4交換が成立する。

 

遊戯王は先攻の行動に合わせて後攻が対応するという流れが一般的です。

デッキによってどちらが向いているか理解して有利な方を選択しましょう。

 

 

ひとまずこれで終了です。

よくわからない箇所があったのなら遠慮なく申し出てください。